
2012年 10月 6日 数 学 物 理 宇宙地球 生 物 化 学


群の定義をし、例を挙げ、定義の妥当性を考察

環の乗法群とは何かを考える

前回学んだ事を思い出し、乗法群についての理解を深めた
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チューター
佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)
岡田 健(数理解析研究所 修士課程 2回生)
実施場所
理学研究科3号館109号室
実習内容
素数が無限個存在することの第3の証明として、メルセンヌ数とラグランジュの定理を用いる方法について発表してもらった。
その過程で「群」や「環」といった新しい概念を導入し、具体例を考えながら定義を吟味した。
群や環の例として行列についても学び、演習問題をいくつか出した。
受講生の感想
- 結構疲れました。しかし、このような疲れ方が出来るのは、大変快いです。
- 今回の内容はとても難しかったです。始めの方のメルセンヌ数は聞いたことがあったけれども、最後の方はよく分かりませんでした。家に帰ってしっかり宿題をしてきます。
- 疲れた…。抽象的な事は分かりにくいです。頭がグルグルしてます。演習問題が出たので頑張りたいです。
- 今日は「群」や「環」等を学びました。名前は聞いたことがありますが、詳しい定義は知りませんでした、また家に帰って調べてみます!新しく行列の計算も学んだので、しっかり演習しておきます。
- とても抽象的だったので、理解するのが厳しかったです。細かい定義が、実際にはとてつもなく大切であることを実感させられました。
- 群が初めて出てきたけれど、今回の講義でだいぶ分かるようになった。行列の乗法群は、ad - bc = 0 となるものを除いたものですか?そうすると A × A^{-1} = E が成り立つ?
- 素数が無限にある事の証明1つでも、理解しなければならない事が多くて大変です。証明をまだ発表していないので、発表する時までに間違っているところが無いか見直してきたいと思います。
- 群の定義や環の定義は、一度見たことがあったが忘れてしまっていて、今日聴いて理解が深まった。今回、時間内に終わらず、次回に持ち越しとなったが、次回参加出来ないのでとても残念に思う。オープンコアコースのあった日は体験学習が2時間になるので、短いなと思った。
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講義の様子

講義の様子
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実習指導
石野 雅也(素粒子実験研究室 准教授)
チューター
加茂 直之(修士課程 1回生)
実施場所
理学部5号館 302号室
実習内容
実習としては、ヒッグス粒子の不変質量を再構成して、ヒッグス粒子を自分でみつけることを目標としている。第1回目の実習である今回は、時間も短かったので、その発見をするための材料となるデータがどのようにとられたのか、そのデータをとるために利用している施設、機械がどのようなものであるのかを説明した。すなわち、加速器の説明(CERN研究所にあるLHC加速器)であり、その衝突した結果、発生する多数の粒子が痕跡を残す測定器についての説明である。
また、そもそも、素粒子物理がなにを目指しておこなわれている学問であるのか、物理学の中で、自然科学の中で、素粒子物理がどのような位置づけにあり、その学問としての価値がどこにあるのか、ということについても主観を混ぜつつ、おはなしした。
受講生の感想
- ヒッグス粒子は粒子をぶつけて生まれたまでは知っていたが、ミューオンからいろいろ測ったり、運動量を測ることでみつけたと初めて知った。物理についても身の回りの物質を詳しく見ていくものだと思っていたが、本質的には、今わかっている力を統一していくものだと知った。難しいところもあったが、例を挙げたり、確認しながら進めてもらったので、分かりやすかった。
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- ヒッグス粒子について講義していただいて、非常に興味深かったです。ヒッグス粒子はよく名を目にしますが、実際にどんなものなのか、どうやって見つけるのか、詳しくは知らなかったので良い機会だったと思います。LHcのような加速器を用いても、そう簡単にはわからないことを知って、CERNのしていることはとてもすごいことなのだと改めて実感しました。またこのような最先端の研究に触れていきたいです。
- 加速器のある程度詳しいしくみをはじめて知った。eVという単位も名前しか知らなかった。今回のELCASで僕がいちばん楽しみにしていたところの1つがこの素粒子実験の分野で、眠気も一気にとんでいった。そしてあらためて数学の部分の大きさを感じた。また、次回の実習で先生もはじめてというヒッグス粒子の実習をできるので、とてもまち遠しい。
- 今日は、物理の中でも特に興味のあった素粒子やヒッグス粒子の話で、とてもおもしろかった。ヒッグス粒子が見つかってすぐの頃に聞いた公演よりも深く理解することができた。今までeVが何かとか、そういう単位のことまではきちんと理解していなかったことに気付いて、まだまだ勉強不足だなと思い知らされた。
- 少し難しかったが、興味深かった。ビックバンが起こってからの時間軸とTeVスケールの話がすごく面白いなと思った。ニュースや新聞などでよく聞く「ヒッグス粒子」について、全く知らなかったし、エネルギーと粒子の加速がこんなにも親密に関わっているとも知らなかった。また、粒子を円周軌道にとどめるためには、超伝導磁石が鍵であるというのも驚きだった。難しくて理解できないところもあったけれど、次回が非常に楽しみになった。
- 今回の体験コースの内容は、素粒子物理関連のことでした。この分野には興味があるので、大変おもしろかったです。今回お話をしていただいた石野先生は、以前CERNで実験をしていたということで、そのときのお話も少し聞けました。日本の素粒子物理学の研究所には行ったことがありますが、海外のものは行ったことがないので、とても興味深かったです。また、石野先生なりの物理学への思いも聞かせていただき、今まで触れたことのない考え方に触れることができました。本日はありがとうございました。
- 今回は加速器で新しい粒子を測定する方法や加速器のしくみについて教えていただいた。その測定やしくみの複雑さに驚いた。他にも、物理学が世の中で起こっていることを単純に表そうとしている学問であるという考えに興味を覚えた。たとえば、電磁力、弱い力、強い力、重力がもとは一つであったという考え方などだ。新しいたくさんの知識を得ることができてよかったし、興味深い内容だった。次回が楽しみだ。
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レンズを用いて光学系を調整する

レンズの位置を調整して平行光を生成する

壁に焦点を合わせた光を絞り、回折リングを観察する
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実習指導
岩室 史英(宇宙物理学教室 准教授)
実施場所
理学研究科4号館504号室
チューター
鈴木 裕司(博士課程1回生)
実習内容
レーザーを光源に用いて自分で光学系をセットアップ。壁に焦点を合わせた状態、並行光にした状態で、レンズ間と焦点面までの距離を測定しレンズの公式が成り立っていることを実感してもらう。その際、球面レンズでは焦点を合わせても点にならずに広がる、球面収差があることを確認。また、焦点面までの距離を長くし、壁に焦点を合わせた状態で光を小さな穴を通して絞る。すると、壁面で回折リングが見られる。そのリングの大きさを理論からの計算値と比較をした。
受講生の感想
- 高校ではまだ物理を習っていないということもあって、今日の光の内容は難しく感じました。また、レーザーポインターの調子が悪かったり、光の方向がなかなか合わなかったりして実験にも苦労しました。しかし、最後にはきれいな光のリングも見られて、何となくですが、光が波であることを実感することができました。まだ光の実験は続きがあるということで、そのときが今から楽しみです。
- 今日は自分の手を使って実験できて楽しかったです。いろいろ調整するのがたいへんだったけど、学校ではやらないようなことでいい経験になりました。球面収差というのは球面でまわりがボヤーとするものでしたが、差が収まると書くのに差がでるのでなんか不思議だと思いました。また次の授業が楽しみです。
- 波の回折は学校で実験したことがあるのですが、光の回折や焦点距離の公式は紙面上の事実としてしか知らなかったので、実際に見たり計算で確かめることができて非常に興味深かったです。ただ、実験の準備の段階でレーザーがなかなか癖があってレールに対してまっすぐレーザー光を当てるのにとても苦労しました。
- 思っていたより操作が上手く出来なくて、少し難しいと感じる所もありましたが、電気を消してレーザーの光を見た時は
感動に近いものを感じました。リングがとてもきれいでした。今日は全体の3分の1しか進まなかったそうなので、今日使わなかったレンズなど、どのようなものが見られるのかとても楽しみです。物理ではまだ光の分野は勉強していませんが、とても興味を持って体験することができました。ありがとうございました。
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- 今日は地震の講演を受けた後、レーザーで光の波をみる実験を行った。レンズを動かし、光の的を調整するというだけなのに、意外に難しかった。しかし、その分成功したときの感動もまた意外に大きく、とても充実した半日だった。2人1組でやったが、ペアが優秀で正直かなり助かった。そう思うと同時に、自分の無力さに若干イラついた。
- 準備の段階でレーザーの焦点を合わせることから苦労した。レーザー、対物レンズ、レンズ、しぼりを使ってみたリングがとてもきれいだった。実際に長さも求めて、比を出したりして同じ値になった時、嬉しかった。
- 今日はレーザーポインターを使った実験をした。比較的原始的な実験であったが、それでも焦点をあわせたりするのはけっこう難しく、改めて物理のおもしろさと奥深さを知ることができてよかった。今まで僕が知っていたレンズ以外の平凸レンズなども使えてよかった。学校の授業などで回折という現象は知っていたが、今回の実験を通して体でわかったのでよかった。
- 今日は光のレーザーを使った実験でした。前に京大のOCに来たときに同じセットで展示されていて、触れるなと書いていたものを触って、自分で動かすことができたので、とても楽しかったです。こんな風に通常見たり触れたりできないものを体験できて楽しかったです。次もやるそうなので楽しみにしています!!
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光合成の活性を測定できる装置、PAM

生のピーマン(左)と加熱したピーマン(右)の光合成活性の比較

野外で採取した葉っぱの光合成測定 |
実習指導
鹿内 利治(植物分子遺伝学研究室 教授)
チューター
福田 裕也(修士課程1回生)
横山 諒(修士課程1回生)
実施場所
理学部2号館 218号室
実習内容
光合成は、植物の葉緑体内で水と二酸化炭素から光エネルギーを用いて酸素と有機物を作り出す化学反応であり、顕微鏡などによってその過程を直接観察することはできない。PAMという機械は、ある特殊な光を植物に当て、跳ね返ってきた蛍光を解析することにより、生きたまま植物の光合成の活性を測定できるものである。
今回の実習では、PAMを用いて以下の3種類の実験を行った。1)スーパーで売られている生のピーマンと、加熱したピーマンの光合成の比較。
2)シロイナズナの野生株と、光合成がうまく行えない変異株の光合成の比較。
3)野外で生育している植物を各自で採取し、その活性を測定。
実験の最中、そして最後の考察では、生徒から積極的な質問が出て、大いに盛り上がっていた。
受講生の感想
- 自分がその辺で適当に採集した葉にも、光合成を多くする部分、ほとんどしないもの、その中間があり、不思議なものだと思った。今まで光合成をしていたピーマンがたった20秒加熱するだけで、クロロフィルは残るが、タンパク質は変性して光合成ができなくなるとは思わなかった。また、強い光を当ててストレスをかけることによって光合成量が減ること、また光に弱い変異体が存在することに疑問をもった。それは生存に不利なのではないかと感じた。光を当てると、Yieldが下がっていくことなどを知り、やはり植物は生き物なのだと改めて感じた。
これらの反応が植物の生存戦略にどのようなメリットを持つのか調べてみたい。
- 今回は植物の光合成量を測定する実験を行いました。
植物に光を当て、返ってきた光の量から実際に光合成に使用された光の量がわかるそうです。パソコンを使ってグラフで表示されるのですが、光が当たってから光合成をするまでの速度があまりにも早いことに驚きました。
実験にはピーマン、シロイナズナ、自分たちで取ってきた葉をそれぞれ使用しました。ピーマンは電子レンジで加熱して、クロロフィルの周りにあるタンパク質が失活したことで光合成が行われなくなったことがわかりました。
シロイナズナは突然変異体(pgr5, npq4)を使って、ストレスを与えたものとも比較して調べました。
自分たちで取ってきた、斑入りの葉、黄色に変わった葉、光によく当たり元気な葉を使った実験は、斑入りの葉でもクロロフィルが残っていて光合成をすることがわかりました。
つい最近学校で光合成の授業があったばかりだったので、より理解が深められ、とてもよい経験になりました。本日はありがとうございました。
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- 今回は、パルス変調蛍光測定装置(PAM)を使って、いろんなものの光合成の能力値を測定しました。まず驚いたのが、ピーマンが光合成をしているということです。確かに、緑色をしているけど、そんなこと考えたことなかったので、驚きました。これから野菜売り場に行ったら、そのたびに思い出して、この野菜もかな?と考えてしまうと思います。でも、電子レンジにかけると、たった20秒でも光合成をしなくなってしまいました。けっこうもろいものなんだなぁと思いました。
そして、自分で採ってきた葉も測定しました。赤い葉も光合成をしていて、緑しか光合成はしないわけではないことがわかりました。それに、落ちて枯れている葉でも光合成をしていて、茎や根から切り離されてしまったのに、まだ働いていて何だかすごいなぁと思いました。
光合成は知っていたけど、測定できることや、研究がされているなんて知らなかったので、すごくいい体験になりました。
- 今日はパルス変調蛍光測定装置(PAM)を使って光合成能力を調べました。最初はピーマンを使って生の時と熱した時で、ピーマンの光合成能力を調べました。ピーマンをレンジで黒くならないぐらいに熱してもまだ緑色だから、ピーマンはまだ光合成するやろって思っていました。造花は絶対光合成しないやろって思っていたら、予想通り光合成していなかったです。外に葉っぱを取りに行った時できるだけ葉に違いがあるようにとりに行きました。つたに葉がついたものは、葉よりつたの方が光合成能力が高いことに驚きでした。茎には光合成能力があるんだなって思いました。とても深い緑の葉に実がついていたので測ってみたら、実にも光合成する能力があることにも意外でした。
- 今回ピーマンが光合成をしていたことは初めて知りました。熱でタンパク質が失活することは学校で習ったことがありますが、それが目で見て実感することができ、よかったです。また、自分で採ってきた葉のYieldをそれぞれ測定してみると白い葉はやはりYieldがかなり低く、光合成をしていないことがよくわかりました。また、光合成の仕組みもけっこうくわしく知ることができてよかったです。自分でいろんなものを測ってみるのはとても楽しく、おもしろかったです。光合成に関してだんだん効率が下がっていくというのも変化がよくわかりました。
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研究内容について講義

結晶化溶液の調整

卵白由来リゾチームの結晶化 |
実習指導
竹田 一旗(生物構造化学研究室 講師)
チューター
丹羽 智美(理学部4回生)
岸本 麻子(修士課程2回生)
実施場所
理学部6号館 459号室
実習内容
タンパク質の立体構造解析を体験してもらうために、今回はニワトリ卵白由来リゾチームの結晶化を行った。結晶化溶液・タンパク質濃度について最適な結晶化条件を探索し、作成した結晶を顕微鏡で観察した。
受講生の感想
- 今回はタンパク質の結晶作りということで、マイクロピペットを使ったのですが、使い方に慣れるのがとても大変でした。でも、慣れてくると上手に使えるようになって楽しかったです。顕微鏡で作った結晶を見てみると、自分は透明な結晶を予想していたのですが、予想とは大きく違ってカラフルな結晶がたくさん多まっていて、とてもきれいで感動しました。次回も楽しみです。
- X線での構造解析にははじめの三木教授の講演ですごく興味をもっていたので、実際に体験できるようになり、大変うれしいです。タンパク質の形が働きに大きく影響しているというお話をはじめにしていただいたので、さらに興味を持てました。タンパク質がもろいということを聞いたのですが、今回、うまく結晶が小さいながらできていたので次回どうなっているか楽しみです。
- 初めマイクロピペットの使いかたが難しく慣れなくて、なかなかうまいこと正確な量を測ることができなかった。しかし、やっているうちに、だんだんコツをつかんで楽しくすることができた。また、結晶がきちんとできているか不安だったけど、鮮明にきれいな結晶を確認することができてほっとした。高校での実験に比べて格段に難しい実験だが、興味深く面白いものでとても良かった。
- 今日はマイクロピペットを使って溶液を測り取り、結晶を作って顕微鏡で観察しました。何度も実験でミスをしてしまいましたが、最後にキレイな結晶が見れて良かったです。再来週も、つづきの実験なのでがんばりたいと思います。
- リゾチーム結晶作成をするにあたって、初めてマイクロピペットを使い、始めは戸惑いましたが、段々とうまく使えるようになっていきました。溶液をプレートのくぼみに入れ、カバーガラスに泡立てずにリザーバー液とリゾチーム水溶液と混合するのが難しかったですが、うまくできた時はうれしかったです。リゾチームの結晶はとてもきれいで感動しました。
- タンパク質の解析については、その目的や手法は聞いたことがありましたし、機材も見たことはありましたが、実際にタンパク質を塩析で結晶化したのは初めてでした。今まで話で聞いていて想像していたことが、目の前で起こっていて感動しました。特にきれいな微結晶が見えたときは本当にワクワクしました。今回はできると分かっている結晶を作りましたが、どの条件で結晶ができるかわからないまま、条件を調べていくのは、相当根気のいる作業だと思いました。
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