
2012年 11月 17日 数 学 物 理 宇宙地球 生 物 化 学


実数の位相の復習。 開区間の和集合たちが位相をなすことの証明。

「平面の格子点は数えられる」

整数の集合に特殊な位相を入れて、 素数の無限性を証明できた。
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実習指導
伊藤 哲史 (数学教室 准教授)
チューター
佐々木 健太郎(数学教室 修士課程 2回生)
岡田 健(数理解析研究所 修士課程 2回生)
実施場所
理学研究科5号館209号室
実習内容
素数の無限性の第四の証明として位相を用いた証明を発表してもらった。
位相は集合の元たちの間の近さを(かなり大ざっぱに)定める。 まずは前回の復習として、 例として実数のなす集合に対してその開区間の和集合たちという集合が、 実際に位相を定めるということを証明してもらった。
整数の集合にはそれとは全く異なるものとして、 「倍数である」という情報で位相を定めることができる。 この位相と整数の集合が無限集合であるということを上手く使うことによって、 素数が無限個存在するということがわかった。 抽象的な概念である位相を用いた不思議な証明だったが、 ひとつひとつ丁寧に観察していくことでわかりやすいセミナーにすることができた。
受講生の感想
- 今日は自分が発表の番でしたが、 位相が難しくて、 少し理解が大変でした。 素数が無限個あることの証明が位相を使って証明できることが不思議でした。
- 位相の定義自体も、 証明の内容も、 抽象的ながらも比較的よくわかった。 理解するのに十分な時間があった。
- 疲れました。 位相むずかしかったです。 もう今日で半分終わったのかと思うとはやいです。
- 初めての発表で緊張したけどおもしろかった。 久し振りだった「が」というべきか、 久し振りだったからというべきか、 とにかくとても楽しい4時間を過ごすことができた。
- 回を重ねるたびに、 理解力が深まってきたような気がします。 また、 知的体力も増強されたように思います。 このマラソンはきついですが、 終わった後の爽快感は、 何ものにも変えがたいです。
- 証明、 見事でした!
- よく分からなかたったような分かったような曖昧さは残るものの、 最後は気持ちよかった。
レポートやってきます。
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光検出器作成中

光検出器完成

真空チャンバー内にトラップされた87Rb原子集団

冷却されたRb原子をトラップしている真空チャンバーとオプティクス

:観測された吸収スペクトル(CH2:常温Rb原子 CH3:冷却Rb原子) |
実習指導
吉川 豊(量子力学研究室 助教)
チューター
関 友宇(修士課程 1回生)
西尾 卓衛(修士課程 1回生)
実施場所
理学部5号館 159号室
実習内容
前回の復習と今回作る回路についての講義を30分ほど行った後、2グループに分かれて各グループ一つずつ光検出器を作ってもらった。その後、作ってもらった光検出器を使ってドップラー冷却により冷却されたRb原子と常温Rb原子の吸収スペクトルを観測し、その違いについて考察した。
受講生の感想
- 今日は光検出器を作った。私たちの班は上手くいって、光を当てて実際反応するところを見て、当り前だけれど、きちんと電子回路をつなげば相応の結果が出るということが実感できた。普段、パソコン等を使うときに、ちゃんと操作ができるのが普通だと思っていたけれど、それもこのような回路の積み重ねだということが分かった。さらにその検出器をMORにつないで、きちんとした回答を出せたときは感動した。今回作ったものは、私たちにも作れるようにそんなに複雑ではなかったけれど、それでもたくさんのことを体感することができた。今日もとても勉強になりました。
- 前回、欠席したため初めは理解できなかったけれど、実際に見てみることで少しずつ理解できるようになった。最初に光検出器を作ったのだが、はんだ付けが上手くいかなかったり、フォトダイオードの向きが逆だったりと苦戦した。だが、完成しさらにそれが実際に使えたときの達成感はなかなかのものだった。レーザー冷却の仕組みは検出器を使用してみるまでは理解できていなかったが、実際に見て確かめることで少し理解できた気がする。また、Rbについて興味を持てた。ありがとうございました。
- 今回は4時間ほぼ実習で、光検出器を作らせていただきました。2班に分かれて作業をしたのですが、私の班は、なかなか上手く作れず、時間がかかってしまいました。最後まで作り上げて、いざオシロスコープに繋いでみると、悪いところがあったのか、正しく作動しませんでした。作り上げた後に、どこが間違っていたのかを探すのは予想以上に大変で、結局チューターさんに直してもらうことになりました。実習は難しく、失敗もしてしまいましたが、上手く作れた検出器を使って、ルビジウムの光をオシロスコープで観測することができたときは、ちょっと感動しました。今回のレーザー光を使った体験学習は、化学的な部分も多々あって、難しかったですが、自分で検出器を作って実際に結果を出したことで、レーザーを利用した研究を身近に感じることができたと思います。ありがとうございました。
- 今回、光検出器を作ったのですが、チームワークのなさからなのかあまりうまくいかなかったです。結局TAさんに手伝ってもらうハメになりました。レーザー冷却で何が起こっているのかは前回見て講義をきくことである程度納得していたのですが、検出器を使って確かめることでそういうことにも使えるのかと分かった。さらに自分たちで作ったのでそれなりの達成感が得られて良かった。
- 今日一日、本当に楽しかったです。自分達の力で協力して回路を組み上げて作った光検出器がちゃんと動作したときはとても嬉しかったです。みんなで相談したり、久々に半田ごてをさわったり、今日は普段あまりできないようなことができました。87Rbや85Rbのエネルギー遷移は少し難しい話でしたが、実際にやって、グラフを見ることで、冷却することによる精密分光の意味もよく分かったと思います。レーザー冷却したRbの放出する赤い光も何とか観測することができて、良かったです。前回も含め、本当にありがとうございました。
- 今回はレーザー冷却で冷却された原子では、常温で見えない微細な電子のエネルギー順位を知ることができるという内容だった。おーびたるの決定はこんな感じで進められるのかなと思った。いろんな機器を使っての実習だったので、実感がわいた。いつの間にか夢中になっていて、実験の物理もたのしいもんなんだと思った。この実習に参加できてうれしいです。そしてちらかり気味の部屋だったのがなんとなくいいなと思いました。
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発光ダイオードを含む電子回路をブレッドボードで自作

発光ダイオードにおける電圧や電流を測定及び計算

TVリモコンからの赤外線を携帯電話のカメラ機能で見る |
実習指導
長田 哲也(宇宙物理学教室 教授)
実施場所
理学部4号館 5F会議室
チューター
義川 達人(博士課程 2回生)
実習内容
本実習の目的は、発光ダイオードを含む電子回路の作成を通して光子と電子の変換について理解することである。
・初めにイントロダクションとして、光に関する理解の歴史的変遷を説明した。
・次に簡易に電子回路を作成できるブレッドボードの使い方について説明した。
・発光ダイオードを含む電子回路を各自自作し、発光ダイオードに流れている電流やかかっている電圧の値を調べた。各自に配られた発光ダイオードは種類が異なるため(色が異なる)、各自の結果を発表し、議論した。
・新しい発光ダイオード(目で光っていることを確認できない)を各自に配布し、その発光ダイオードの性質について議論した。
・携帯電話のカメラ機能を用いると、赤外線が少し見える(たとえばTVのリモコンなど)。この性質を用いて、先程の光らなかった発光ダイオードを見て、赤外線で発光していたことを確認した。
・光を発光ダイオードに当てて電圧が生じることを確認し、望遠鏡で光を集めて天体を検出する仕組みについて議論した。
・宇宙に関連する質問を受け付け、それに答え、議論した。
受講生の感想
- 今日は、回路作成と先生に質問する機会を与えていただきました。回路作成は結構面白くて、でも色の違うLEDの電圧や電流の話は少し難しいと思いました。先生に質問する時間には、様々な宇宙の不思議についてお聞きし、疑問に思っていたこともすっきりしたのでよかったです。なかなかこのような時間を長くとってもらえることはないので、とても貴重でした。ありがとうございました。
- 今日は、後半に教授との質問コーナーが設けられ、いろいろ熱く語り合うことができた。なかでも、生命は地球以外に存在するか、という議題が出たときは、全員が意見を出し合い、とても白熱した。居心地の良い空間になった。また、この感じを味わいたいと思う。
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- 今日は電気回路の実験をした。実験自体は面白いものだが電気回路は接触がちょっとでも悪くなるとつかなくなり、かつどこの接触が悪いのかを全部調べないといけないので大変だった。また、最後の質疑応答で分からないことがいっぱいわかったのでよかったです。
- LEDの実験と宇宙についての質問をしました。LEDの抵抗による電流の違い、オームの法則 etc…
質問は宇宙の端っこの話やブラックホール、太陽の中心の話など興味深いものがたくさんありました。
個人的にはアインシュタインが「特殊相対性理論」でノーベル賞を取ったわけではないというのも驚きでした。
- 前半は、様々な色のLEDを使って、電流、電圧、色の関係を調べました。回路を組むというシンプルな実験でしたが、自分が思ったことをいろいろと試すことができて面白かったです。また、目では見えない赤外線が携帯電話のカメラを通すと見えるというのは不思議に感じました。後半は、宇宙のこと全般についての質疑応答の時間でした。先生の詳しい解説や、他のメンバーのユニークな考えを聞くことができて、とても楽しかったです。
- アインシュタインがノーベル賞をとった光電効果を発光ダイオードでやって楽しかったです。前の実験は光の波の性質を見たけれど、今日はあかりの色によって電圧が変わることとかを見ました。また、最後の方にあった宇宙のことを何でも質問しようみたいなコーナーでは、僕の全然知らないようなことをいっぱい聞きました。もう天文台に行かないのは残念だけど、これからの授業も楽しみです。
- 今回の実験はとても楽しかったです。発光ダイオードはオームの法則が通用しないことや、中の材質次第では、赤外線を出すものまであることに驚きました。実験の後での宇宙についての様々なお話もとても興味深かったです。
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立襟鞭毛虫および研究内容について説明

倒立型顕微鏡

系統樹作成法について説明 |
実習指導
岩部 直之(理論生物物理学分科
分子進化研究グループ 助教)
チューター
高橋 慶祐(修士課程 1回生)
赤土 碧(理学部 4回生)
実施場所
理学部1号館 106号室
実習内容
動物に最も近縁な単細胞生物である立襟鞭毛虫および研究内容について説明し、実際に倒立型顕微鏡を用いて観察した。
また、ヒドラ(刺胞動物)とアルテミア(節足動物)も実体顕微鏡で観察した。
分子系統樹の作成法を説明し、今回観察した生物が、実際のデータから作った分子系統樹上でどの位置にくるのか確認した。
最後に、「単細胞だった動物の祖先生物は、進化の過程でどのように多細胞になったのだろうか?」という問題について考えてもらった。
受講生の感想
- 今日は、ヒドラとアルテミアと立襟鞭毛虫の観察をしました。どれも初めて見たのでとてもおもしろかったです。生物の進化のナゾは永遠のテーマだと思います。たしかにどうして単細胞生物から多細胞生物になったのか、不思議です。私は、多細胞のほうが、一度にたくさん子どもをつくれ、子孫を残せるのかな、多細胞の方が大きく生長するので、外敵に負けないためにかな、と思いました。今回、生き物の進化について考えて、命の重さについても考えさせられたような気がしました。遺伝子の違うところなどから系統関係が分かると言うことも学びました。目に見えない世界のもので、違いを見つけ、似ている似ていないが分かるなんて、本当にすごいなぁと思いました。
- 今回は動物に最も近縁な単細胞生物について学ばせていただきました。進化の過程で、もともと同じ生物だったのにこんなにも違う生物になっているということに驚きました。ヒドラを見させていただいたのですが、想像でしか知らないものだったので、貴重な経験をさせていただきました。
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- 今日は最初に立襟鞭毛虫の研究内容について聞きました。動物の進化は、過去に動物、菌類、植物の共通祖先生物が同じところからだんだん進化して今、現存している生物があるんだなって思いました。生物の誕生は細胞からはじまっているって聞いたことがあるんですが、どんな細胞なのかなんで進化をしていったのか、過去に共通祖先生物が同じところから、それぞれ分枝していかなければならなかったのか不思議です。次に顕微鏡で、立襟鞭毛虫やヒドラやアルテミアなどを見ました。肉眼でも一応みることができました。アルテミアは肉眼でみるとチョコチョコしていました。でも倒立型顕微鏡で見るとバサバサしてて想像していた生き物とはちがいました。
- 「何故多細胞生物になったのか」ということを考えていくのはとてもおもしろいなと思いました。私もいろいろと考えてみました。多細胞になればオン・オフができる、分化していけると教えていただいたので多細胞になることでトータルでのエネルギー消費量を減らせるようになるのではないかなと思いました。それではなぜ単細胞が多いのかということを考えると多細胞生物は大きいため単細胞生物を食べやすいので多細胞になる前に先に多細胞になった生物に食べられてしまったのではないかなと思いました。私は考えることがけっこう好きなのでとてもおもしろかったです!また、顕微鏡で実物のヒドラがみれてとてもよかったです。
- 自分は単細胞生物のデメリットはもし分裂したものがクローンのようなものとなるならば環境がかわったときなどに一度に全滅してしまうリスクを負う必要がある事にあると思います。しかし、メリットとしては多細胞生物とちがって他の個体とであわなくても子孫(?)を残すことができるという点にあると思います。そのために多細胞生物は大きくなるのかもしれません。ヒドラは初めて実物をみました。正直な所思っていたよりも小さくて衝撃を受けました。個人的にはヒトに節足動物よりもヒトデのような棘皮動物のほうが近いことが驚きでした。
- 今回は立襟鞭毛虫、ヒドラ(刺胞動物)、アルテミア(節足動物)の観察、系統樹上での位置を確認を行いました。ヒドラは教科書に載っている写真しか見たことがなかったのですが、実際に観察してみると予想以上に小さく、驚かされました。倒立型顕微鏡を用いて立襟鞭毛中を見てみるとかすかに鞭毛が動いているのがわかりました。襟がついているのは原核生物をひっかけて、捕食するためだそうです。アルテミアは小さいころ「科学と学習」という教材で飼育したことがあったので、また育ててみたい衝動にかられました。系統樹の作成は遺伝子配列の相違点を調べて特定するそうで、とても興味深いと思いました。ヒドラをもって帰らせていただけて、本当にうれしいです。学校で大切に飼育していきたいです。本日は貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
- 立襟鞭毛虫のように単細胞なのに動物と近縁であるものがいること自体にまず驚きました。また、最後に、単細胞だった動物の祖先生物は、進化の過程でどのように多細胞になったのか。という問題を提示されましたが、答えがまったく思いつきませんでした。このようなことを考えることが大事であると改めて感じました。遺伝子のコピーの仕方や突然変異についても詳しく教えていただけてとても良かったです。
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オシロスコープの使い方を学ぶ

ミラーを配置し、光速測定の準備をする


得られた質量スペクトルからキセノンの同位体存在比を求める |
実習指導
堀尾 琢哉(物理化学研究室 助教)
チューター
山本 遥一(修士課程 1回生)
ボランティア
林 雅弘(修士課程 1回生)
実施場所
理学部6号館 380号室
実習内容
①ミラーを配置して光路を作り、オシロスコープで光パルスが光路を通り検出器に到達するまでの時間を測る。光路長と到達時間から光速を計算する。
②極短紫外パルスによってキセノン原子をイオン化し飛行時間型質量分析器で質量分析を行う。得られたスペクトルからキセノンの同位体存在比・原子量を求める。
受講生の感想
- 今回は、実際にキセノンの質量と光の速さを測りました。キセノンは同位体があるので、キセノンの飛行時間スペクトルがいくつも出ていることを知り、驚きました。光速を測るとき、鏡の配置を考え設置しなければならず苦労しましたが、光速をうまく測ることができ、達成感がありました。
- 今日は質量分析と光速測定の二本立てでした。質量分析、光速測定ともに真の値に近い実験測定値出てうれしかったです。また光速測定では自分達でできるだけ長い距離になるようミラーを配置するのも楽しかったです。今回の実験で、精度を上げるための様々な工夫が必要であることもわかったので、これからのELCAS実習に繋げていきたいと思います。2回の実習にわたり色々丁寧に教えてくださってありがとうございました。
- 今回体験させていただいた実験では、作業としては難しいことは少なかったものの、1つの機械にレーザー光を通して、なにがどう働いて別の波長の光が生み出されるのかが複雑で、難しかったです。しかしNe原子や結晶に光を通すことによってより波長の短い光が発生する現象はとても興味深くいつかわかるようになりたいと強く思いました。また想像よりもずっと正確に光速や原子量を測定できて驚きました。n,μ,p(ナノ・マイクロ・ピコ)の単位・測定でのレーザーの有用性を感じました。
- 今日は実際に、自分達で光速を測る実験と、質量分析をしました。まず、自分達の手で鏡を並べてレーザーが通る道をつくるのですが、レーザーの高さをそろえなければならなかったり、できるだけ長いルートを作りたかったので、結構苦戦しました。しかし苦労の末、正確な光速との誤差を100分の1以内に収めることができたので嬉しかったです。また、質量分析は見たことのない大きな機械を使って行いました。原子の同位体によってスペクトルにいくつかのピークがあるということに驚きました。今回も貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
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- 光速を測る体験と質量測定の体験をさせていただきました。物理に近い化学で、自分達で実際に鏡をくみあわせたり、大変面白かったです。機械の内部までみせてもらえて、あんなすごいものを自力でつくって実験してるなんてすごいと思いました。レーザーをつかった実験では反射率をあげるために1つ1つ波長に合わせた鏡をつかわないといけないというのは驚きでした。精密な実験結果を得るためには大変な努力が必要なんだと思いました。質量測定は比較的理解しやすく、プラズマがみれたり、オシロスコープの使い方におどろいたりしました。説明がすごく分かりやすかったです。質量測定できると、学校で自慢します!
- Xe(キセノン)の質量分析を実際にオシロスコープで得たデータから計算できて嬉しかった。計算は少し複雑だったが非常に近い値を出すことができて良かった。光の速さの計測は、実際に鏡でレーザーを反射させながら独自のコースを作った。結果は光の速度を超えてしまうことになったが、自分が計算をして得た答えに達成感を感じた。
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